紅き天
でも、指先さえ動かない。



駄目、ここは冷静に…。



妙に頭だけは冴えている。



どうしよう。



私じゃこの人には適わない。



でも、逃げて応援を呼ぶ事も出来ない。



静乃が固まっている間に、照日は静乃に歩み寄った。



嫌、来ないで…。



そう叫びたい。



でも、喉が動かない。



ニヤリ、と照日は笑う。




この笑みに、恐怖が這い上がる。



どうして、ここに?



どうして、私の標的といつもいるの?



美人だから、どの男にも取り入れるのだろう。



静乃は照日の美貌が心底憎かった。










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