紅き天
「いつかの小娘だねぇ。」



ニヤリ、と。



背筋に悪寒が走る笑みを浮かべ、照日は笑った。 



「お前の標的はこの男だったんだろ?
これが腐れ縁と言うものなんだろうよ。」



ハアッと息を吐き出して、彼女は言った。



「あたしはあんたに会うのは嫌じゃないけどね。
それにほら、今夜は普通の着物を着てるし、あんたを見るのは楽しくていいよ。」



今夜はもし代官の前に出る事があればと着物を着てきてあった。



その理由を知ってか知らずか、照日はそれを指摘した。



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