紅き天
「似合っているよ、狐。
そうそう、お前は狐のようだと思っていたんだ。
どうせ名前は教えてくれやしないんだから狐と呼ぶよ。」



静乃に反論させない物言いだった。



もっとも、今の静乃に口はきけないが。



「付き合いな。
早いとこ仕事が終わったんだから時間はあるだろ?」



言うが早いか、照日は静乃の手首を掴んだ。



「やっ…!」


「付き合いな。」



もう一度照日は言い、静乃には太刀打ち出来ない力で引っ張った。


バランスを崩した隙に首元に刃物を突き付けられ、仕方なく静乃は照日と歩き出した。。












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