紅き天
どれだけかわからない、座って待っていると、頭に笠をかぶった男が正面に座った。
チラッと見えた顔と、体つきからして静乃より年上で20歳くらいだ。
静かだが鋭い感じを漂わせている。
静乃が例によって人間観察をしていると、照日がおもむろに口を開いた。
「狐、この御方は家光様だよ。
今夜は城から抜け出しておいでになったんだ。」
言いながら照日は家光の腕に絡み付いた。
どうして徳川ともあろう者がこんな夜中に城下にいるのか、しかもどうして自分達の所にいるのか、そして何故照日と仲睦まじいのか。
疑問が頭を埋めつくす。
口がきけないでいる静乃に照日は優しく言った。
「大丈夫、恐がらなくてもいい。
この御方はお前を気に入られたんだ。
お前を妻として迎えたいと。」
チラッと見えた顔と、体つきからして静乃より年上で20歳くらいだ。
静かだが鋭い感じを漂わせている。
静乃が例によって人間観察をしていると、照日がおもむろに口を開いた。
「狐、この御方は家光様だよ。
今夜は城から抜け出しておいでになったんだ。」
言いながら照日は家光の腕に絡み付いた。
どうして徳川ともあろう者がこんな夜中に城下にいるのか、しかもどうして自分達の所にいるのか、そして何故照日と仲睦まじいのか。
疑問が頭を埋めつくす。
口がきけないでいる静乃に照日は優しく言った。
「大丈夫、恐がらなくてもいい。
この御方はお前を気に入られたんだ。
お前を妻として迎えたいと。」