紅き天
嘘…。



これは絶対に嘘だ。



だいたい、目の前の男が家光だという保証はないし、会う機会もなかった。



私を始末しようと騙しているんだ。



「嘘ではない。」



初めて男が口を開いた。



そして、懐から紋所を取り出し、静乃に手に取るように促した。



手には取らなかったが、しっかり確認した。



本物だった。



本物と偽物を見抜く教育は受けている。



あれは特別な製法を用いて作った世界に2つと無い代物だ。




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