紅き天
「わかっていないのはそっちだわ。
徳川の孫が麻薬なんか買おうとしていた、なんて世の中に知れ渡ったら?」


「脅しか。」


「はい。」


「なら余にもネタはある。
殺し屋世界を家康様に。」



なんて嫌な奴。



「私をどうしたいのですか。」


「妻に。」



即答されたら答え方考えていないじゃない!



内心大慌てで頭をフル回転させる。



「私は知らない人とは結婚しません。」



憤然と言い放ち、静乃は席を立った。



追いかけて来るかと思ったが、誰も追って来なかった。



それをいい事に足早に居酒屋を去る。








相手が見えないと思って油断していたのは、致命的だった。



この時、私はとても動揺していたんだ。




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