紅き天
「じゃあ、またここで落ち合おう。」
宗治は取引先の問屋へ向かった。
ここからは別行動で、疾風と静乃は商店街をまわる事にした。
「さあ、どこへ行く?」
静乃はワクワクした目で、頭二つ分以上高い疾風を見つめた。
「う~ん、取り敢えず飴を買って。
食べながらまわろう。」
「うん!」
2人は目ぼしい店を探しつつ、行き着けの飴屋に向かった。
川原に屋台を出しているお爺さんが店主だ。
6年前からの常連なので、向こうも覚えている。
「お爺さん!」
静乃が遠くから手を振ると、お爺さんは顔を上げて二人を見つけ、手を振り返した。