紅き天
本当だ。



疾風もここのが一番好きで、他のは食べない。



たまに食べる楽しみも大事だ。



旨さが数倍になる。




しばらくお爺さんと話をした後、もう一本ずつ買い、商店街を歩き始めた。



「あ、そうだ。
静乃、似顔絵描いてもらわないか?」


「うん、いいね。
2枚ずつ描いてもらって、二人で持ってようよ。」



静乃の無邪気な笑顔にドキッとなった胸を軽く押さえ、疾風は絵描きに料金を支払った。




「あ、駄目!
さっき、飴も買ってくれたじゃない!
今度は私が出す。」


「いいよ。
女に出させるワケにはいかねぇよ。」


「いいの!
疾風の稼いだお金、無くなるじゃない。」



はい、と半ば強引に疾風の財布にお金を押し込み、静乃は椅子に座った。



…俺、殺しで稼いでるからそんなに貧乏じゃないんだな。



疾風は内心自嘲気味に笑った。



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