紅き天
「好きだよ。
でもちょっと恥ずかしいの。」


「何が?」


「わからない。
なんていうか、これが恋なんだ、って。」



誤解が解けたのか、疾風は表情を緩めた。



「俺も、確かに変な感じ。
今まで普通に話したり出かけたりしてたのに…。」


「うん、そう。
だから、疾風が嫌いで出たいわけじゃないの。」



わかった、と手を上げ、疾風は顔を背けた。



微妙に赤い顔。



…ここはからかってしまおう。 


自分の照れが消え去るから。



ニヤリ、と笑い、私は疾風に近づいた。



そして一気にガバッと抱きつく。



「疾ー風!」


「待ってましたぁ!」



しまった!



嵌められた!



気付いた時には既に遅し。



両手足で身体を掴まれ、床に転がった。



< 131 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop