紅き天
「何をしとるんだ馬鹿者ーーー!」
基子さんの声が部屋に響き渡り、俺達はビクッと身体を震わせた。
「母様…。」
静乃は驚いて硬直している。
「疾風貴様!」
「おうおう、ちょっと落ち着けや基子。」
「落ち着けるか!
私の娘に馬乗りに…!」
殺される!
本気で俺はそう思った。
「母様やめて。」
俺の背中から手を放し、静乃は言った。
そうそう、そのまま説得して俺を助けてくれ。
「疾風は悪くないから。」
「信じるかぁ!」
もう何を言っても俺を殺したいんだな。