紅き天
親バカも大概にしろよ。



俺は頭を抱えて転がった。



「1人にしてくれ…。」



呻くように頼むも、あっさり宗治に断られた。



「駄目駄目。
静乃と熱い夜を。」



太い声で、そう言って基子を連れて出ていった。



「ほい。」



かと思えば静乃を返しにまたすぐ顔を出し、今度こそ出ていった。



「う〜。」



着物の端を掴んで恥ずかしそうに声を漏らし、唇を噛んでいる。



「なんだよ…。」


「母様に置いてかれた。」



いや、なんで帰ってきたのか訊いたわけじゃないのに。



「取り敢えず寝るか。」



着替えを持ってきてもらっていない静乃は風呂は無理だ。



明日入ってもらうとしたもんだろう。



布団をひくと、俺の部屋は足の踏み場もなくなった。



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