紅き天




朝、起きたら疾風は横にいなかった。



昨日言い過ぎたことを謝ろうと思ってたのに。



枕もとに着替えが置いてあったので着替える。



いつの間に、抜けだしたり荷物を置いたりしたのだろう?



普通なら人の気配に気づくはずなのに…。



なんだか調子狂ってるな。



疾風の隣りで寝られたことでそんなに安心したんだろうか。



無意識に首を傾げながら、そう思った。







着替え終え、下に降りていくと、宗治が台所でなにやらガタゴトやっていた。



「おじ様?」


「おお、起きたか。」


「あの、寝坊しましたか?」


「いいや、まだ早ぇ。
さっき陽が昇ったとこだからな。」



言われて外を見ると、確かにまだ薄暗かった。




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