紅き天



ーーーーー……。



「おじ様、ご飯出来ました。」



静乃に後ろから声をかけられ、宗治は飛び上がった。



「お、おお。」



さすが天才兇手。



足音どころか気配なく近づいてきた。



俺なんかあと10年の間に追い抜かれるな。



苦笑いしながら宗治は居間に向かった。



「遅い。」



先に座っていた疾風にじろりと睨まれる。



「早かったな。」


「腹へった。」



わァかってるよ。



ムッとしたのを読まれ、静乃は必死で場を取り持った。



「取り敢えず食べよう。」



いただきます、と手を合わせる静乃につられて、宗治と疾風も手を合わせる。



そして電光石火、疾風がおかずを掠め取る。



「餓鬼…。」



一番大きな芋を取られ、宗治はプルプル震えた。



そして自らも箸を取り、連続で2つ茶碗に運んだ。



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