紅き天
静乃を引っ張って街まで行った疾風。
今、通りを手を繋いで歩いている。
「悪かったって。」
「飴奢ってくれるから許す。」
ほうっとため息をつき、疾風は顔を上げた。
「よかった。」
「まあ、プラスαがなきゃ怒るけど。」
一気に青ざめた疾風をポンポンと叩き、静乃は笑った。
「ゴメン、いじめ過ぎた。
ちょっとからかいたくなって。」
「お前、洒落になってねぇぞ…。」
アハハと軽く受け流し、静乃は早足になった。
「早く行こ?」
「ああ。」
疾風も自然と頬が緩み、機嫌が直った。
いつもの場所に着き、静乃は屋台に駆け寄った。
「お爺さん!」
「おお来たか。」
前より少ししわくちゃになったお爺さんに迎えられ、疾風はニッコリ微笑んだ。