紅き天
嬉しそうな疾風。



スッとした顔立ちだけど、こういう風に微笑むと丸みをおびる。



この笑顔、安らぐなぁ。



疾風から視線を引き剥がし、静乃はお爺さんをみた。



「飴2つ。」



いつも通りの注文をお爺さんはいつも通り聞き、いつも通り飴を作ってくれた。



「2人の関係が変わった事を祝して、今日は食紅つきじゃ。」



受け取ろうと手を伸ばしていた2人は一気にボボッと赤くなった。



「爺さん!」


「ホッホッホッ。」



朗らかに笑い飛ばし、お爺さんは静乃の頭を撫でた。



「何のことはあるまいに。
初めて手を繋いで来たからの。
たやすいたやすい。」



疾風は顔を赤らめてそっぽを向いた。



< 147 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop