紅き天
「ありがと。」



素っ気ないお礼に頷き、お爺さんは疾風を呼び寄せた。



そして何か囁き、疾風の肩を優しく叩く。



静乃は飴を舐めながらそれを見ていた。



「疾〜風、なんか赤くなってるよ。」



静乃がからかってもぽわんとしたまま歩いて行った。



「もう、無視しないでってば。
お爺さん、またね。」



静乃は手を振り、急いで疾風を追った。



手を繋ぐと我に返り、疾風は自分も手を握り返した。



「次どこ行く?」


「うーん、お芝居見たい。」


「わかった、行くか。」



疾風は頷いて手を揺らして道を曲がった。








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