紅き天
「おおっ、お前ら珍しく早いな。」
そういう宗治はもう待っていた。
「父さんのが早いじゃねーか。」
「当たり前だ。」
むん、と顔をしかめ、宗治は船に乗り込んだ。
「お前達に先を越されるのは気に食わん。」
「なんだよそれ。」
疾風は呆れながら静乃に手を貸し、言った。
静乃はそんな二人を見てクスクス笑った。
「じゃあな、静乃。」
自分達の店の通りに差し掛かり、疾風は静乃に手を振った。
「うん、またね。」
疾風は静乃が中に入るまで見送り、自分も店に帰った。