紅き天



「なんで貴様がここにいる。」


「いいじゃねーか、一緒に行こうぜ?」



ありがたい地蔵に腰掛けて待っていた宗治を睨み付け、伝蔵は持っていた杖を振り上げた。



「おうおう、落ち着け馬鹿。」


「貴様、挑発してるのか?」


「まさか。
地獄への旅路、仲良く行きたいからなぁ。」



誰が共にに行くと言った。



そう吐き捨て、伝蔵は橋を渡った。



その後をちゃっかりついていく宗治。



もう伝蔵も止めなかった。



「でもよぉ、なんで今更呼び出されるよ。」


「家光だろう。」


「あ〜…。」



思い当たる節がある。



静乃を巡ってのあの事件か。



訊くと伝蔵は渋い顔で頷いた。



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