紅き天
「仕返しなんて、タチが悪い。」


「まだ若造だからな。」


「まったく、甘やかされて育った坊っちゃんは面倒だねぇ。」



ボリボリと顎を掻きながら宗治は言った。



「でもよぉ、俺達を殺しちまったら静乃は絶対あいつと結婚しないだろう?
それは困るんじゃねーのか?」


「脅す気だろう。
俺達のように疾風と基子を人質にとって。」



汚ねぇなぁ。 



他人事のように呟き、足元の小石を蹴飛ばす。



「静乃も面倒な奴に見初められたもんだ。」


「静乃に非はない。」



ギロリと睨まれ、宗治はひたすら謝った。



< 164 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop