紅き天
話が終わった途端、2人は城から追い出された。



まさに、言葉通り追われるように。



「まったく、何なんだ!」


「徳川の支配下に置きたいんだろう。
邪魔な兇手を半分減らして監視の目を片方に向けて。
一石二鳥だ。」



言いながらさっさと伝蔵は城から遠ざかる。



もうあんな下衆と同じ敷地にいたくはなかった。



「家光め、泣き付きよって。」


「伝蔵がお怒りだ。」


「お前もだろ。」



ムスッと息を吐き出して伝蔵は腹いせかドンッと橋を叩いた。



「一派全滅って、なぁ。
野心が見え見えだ。」


「まったく、どうして天下が…。」



伝蔵らしくなくブツブツ呟き、足を引きずるように歩いていった。


宗治は反対に口をきかず、黙々と歩き、帰路を辿った。



これは2人を激昂させた事を意味していた。

















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