紅き天
安
「いいんですか。」
「勿論じゃ。
今、…宗治が家を空けておるのに、疾風独り置いておくのは心配だからな。」
宗治、と言うのに声が震えたのは否定出来ない。
「ありがとうございます。」
ホッとした表情を見せ、疾風は頭を下げた。
「それから、部屋は静乃と同じ部屋じゃ。
ありがたく思え。」
これに疾風は目を見開いた。
「そんな…。」
「なんじゃ嫌か。」
「まさか、ありがとうございます!」
あの嬉しそうな顔。
基子は思わず頭を撫でていた。
「基子さん?」
なんでもないと言って、基子は手を引いた。
「お前はいい子じゃ。」