紅き天
一人確定。



静乃は辛抱強くもう一人の仲間を待った。



しばらくすると、女の声が聞こえてきた。



「お待たせいたしました。」



甘く造り上げた声。



「おうおう。」



嬉しそうに質屋は女を迎え入れる。



「ほら、3日でこんなに…。」


「まあ。
素晴らしいですわ。」



ああ、気持ち悪い。



正常な人間が聞けば、悪女だと気付くほど造り上げた声なのに。



男とは、悲しい生き物だ。



静乃は一人を除いてそう思った。



疾風は違うもん。



いつも、静乃は疾風と比べてしまう。





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