紅き天
「………そうですね。」


「当主交代だな?」


「そうですね。」


「宗治、何か言ってたかね?」



何かって?



「遺言とか?」


「いや、この組の頭を誰にするかだよ。」


「あ、俺です。」



そういう事か。



挨拶をしにきたでもなく、慰めにきたでもなく。



当主を、この派閥を統べる人間が誰かを聞きにきたのか。



そんな事をかぎ回ってあわよくばなんて思ってる奴に父さんが頭の座を渡すわけないだろ。



「お前?」



驚かれても。



父さんが俺に任せるって言ったんだ。



「ちゃんと当主直々のお達しで。
明日、色々説明したいのでこの派閥の全員集めてください。」



「なっ…!?」



我慢出来ないか?



俺が上に立つのが、そんなに気に食わないか?



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