紅き天
眉間にシワを寄せ、俺を睨んでいる佐吉。



いくら嫌がっても当主の命令は絶対だ。



その事を覆せはしない。



それをわかっているから余計なんだろう。



「じゃあ…。」



土間から佐吉をさり気なく追い立て、鍵をした。



さっきみたいに入られたらたまったもんじゃない。



「それでは明日。
…市松殿。」



当主は敬称で呼ばなければいけない。



かろうじてそれは覚えてたみたいだな。



まったく、父さんを呼びつけにしやがって。



そこからも佐吉が市松を敬ってはない事がわかる。



…佐吉は気を付けておかないと危険だな。



疾風は記憶にしっかり佐吉の行動を刻みつけた。





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