紅き天



出された物を完食すると、疾風の前に酒が置かれた。



「飲め。」


「え?」


「飲め。」



徳利二本。



お猪口二つ。



一緒に飲もうということか?



「私はお前を一人前の男だと認めた。
私が認めたというのは伝蔵も認めたということ。
これは祝いだ。」


「ありがとうございます。」



初めて飲む酒。



今までは「てめぇには勿体ねぇ!」とか言われて飲ませてもらえなかった。



ああ、駄目だまた父さんが出てきた。



幻覚まで見て…どうしたんだ俺。



「疾風?」



どうやら暗くなってたらしい。



基子さんが心配そうに俺を覗き込んでいた。




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