紅き天
疾風と静乃
「静乃(シズノ)!
早く来いよ!」
「待ってよ疾風(ハヤテ)!」
年10歳ほどの少年と少女が、川原を走っていた。
「早くしないと父様に置いていかれる。」
疾風は焦って静乃を急かす。
「でもッ!
私、早く走れない。」
じれったそうに黒髪を翻し、疾風は静乃の手を掴んで引っ張った。
「疾風!?」
静乃は驚いて小さく叫んだ。
「静乃が遅いから仕方が無いんだ。」
見え透いた言い訳を並べ、疾風は静乃のペースにあわせて足を動かした。