紅き天
「さあ、分けましょう。」



女はねっとりとした声で、質屋を促す。



「その前に…。」


「あっ、ダメですぅ。」 



…嫌だ、こんなの見たくない、聞きたくない。



全然嫌がっていない女の喘ぎ声を聞きながら、静乃は目を閉じた。




今から私は下へ降りてこの光景を目にしながら殺すのか。



相棒が女というところで嫌な予感はしていた。



はあ、と聞こえないようちため息をつき、静乃は静かに屋根裏を降りた。



二人がいる部屋に足音を殺して近づく。



男の背中が見えた。



シュルン、と小刀を抜き背中に斬り掛かった。



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