紅き天
「わかった。
ゴメンね、困らせて。」


「そんな事ない。
俺嬉しかったから。」



ニコッと微笑む静乃が愛しくて。



俺はまた静乃を抱き上げて階段を下りた。



「いやああぁぁぁっ!
やっぱり怖い〜!」


「悪戯心がくすぐられてつい。」


「あの場面でくすぐられる所なんかあったの!?」



疾風は笑って誤魔化し、怒られないように静乃を下ろすとさっさと遁走した。



静乃は足が震えるのかまだ座り込んでいる。



ちょっと可哀想な気もするが基本疾風はサドなのだ。



ゴっメっン〜、と歌うように呟いて店の雨戸を閉めに走った。













甘い空気はどこへやら、戻ってきた疾風に静乃の睨みが飛んだのは言うまでもない。




< 203 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop