紅き天
「まあいいわ。
私を殺すの?」



静乃はやはり答えず、小刀を照日に向けた。



目だけを出した戦装束の格好の少女に、恐れを抱かず、まだ笑っている。



さっと静乃が飛び掛かると照日は猫のような俊敏さで飛びすさった。



静乃は一瞬呆気にとられたが、すぐに態勢を立て直した。



この女、只者ではない。



気を抜けば自分が殺られる。



再び静乃は小刀を構えた。



「うーん、やっぱり貴女は腕がいい。
構えに隙が無いわ。」



満足そうに頷き、照日は言った。



「でも、私には及ばない。」



紅を注した唇に指を沿わせ、彼女は笑った。








< 22 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop