紅き天
「静乃?」
疾風がそっと呼びかけると、焦点の合わない目で天井を見、真上にある家光に目を移した。
クリッとした目をいっぱいに見開く。
「驚いたか、静乃。」
相手が自分の名を知っているのに二重に驚き、静乃は顔を強張らせた。
「そこにいる愚民がお前の名を聞かせてくれた。」
静乃は不思議そうな顔をして、2人がいる方向を振り向こうとした。
「疾風、隠れろ!」
「え?」
「静乃はお前が兇手だということはまだ知らん!」
疾風はハッとして後ろに飛び退って襖の陰に隠れた。
静乃の意識が朦朧としていたのが助かった。
ゆっくりとした動作で振り向いた静乃が目に捉えたのは基子に留まった。
「母様…!」
上手く働かない口を動かし、静乃は基子を呼んだ。
疾風がそっと呼びかけると、焦点の合わない目で天井を見、真上にある家光に目を移した。
クリッとした目をいっぱいに見開く。
「驚いたか、静乃。」
相手が自分の名を知っているのに二重に驚き、静乃は顔を強張らせた。
「そこにいる愚民がお前の名を聞かせてくれた。」
静乃は不思議そうな顔をして、2人がいる方向を振り向こうとした。
「疾風、隠れろ!」
「え?」
「静乃はお前が兇手だということはまだ知らん!」
疾風はハッとして後ろに飛び退って襖の陰に隠れた。
静乃の意識が朦朧としていたのが助かった。
ゆっくりとした動作で振り向いた静乃が目に捉えたのは基子に留まった。
「母様…!」
上手く働かない口を動かし、静乃は基子を呼んだ。