紅き天
助けてやるから。



弱々しい静乃を声を聞いた疾風は陰で拳を握り締めた。



「放して…ッ!」



必死の声が聞こえ、疾風は陰から少し首を出して様子をみた。



静乃がフルフルと震えている手で家光を押しのけようと奮闘していた。



勿論、家光は涼しい顔。



「放してやれ!」



基子が凄むが全く意に介さない。



なんて奴!



力の弱い、しかも今まで意識を失っていた女を力で御すなんて。



嫌がってるのに!



汚らしい手で触るな!



出て行きそうになる自分を必死で抑えながら、疾風は家光を睨んだ。



「静乃、来い。」



基子は耐えかねて、静乃を抱きに走った。




< 226 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop