紅き天
途端、家光が目を光らせ、持っていた刀で基子を斬りつけた。



鮮血が飛び散る。



「母様!!」



静乃の悲痛な叫びが聞こえ、疾風は堪えきれず飛び出した。



「お前ぇッ!!!!!」



力の限り叫び、刀を家光に突き出した。



カキーンと高い音をたてて弾き返される。



すぐさま家光が立て直しかかってくる。



「逃げろ静乃!」


「疾風!?」


「行け馬鹿野郎!!」



疾風の叱責に静乃は飛び上がるようにして基子を担ぎ、危険圏内から逃げ出した。



2人がある程度遠ざかったのを確認してから疾風は突く速度を速めた。



金属音に混じって、静乃が基子を呼ぶ声が聞こえてくる。





< 227 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop