紅き天
「やってごらんなさい!」



言うが早いか、照日は近くに飾ってあった太刀を躍らせ、静乃に襲い掛かってきた。



静乃も応戦する。



「足はもっと大きく動かさなきゃ、咄嗟の動きが出来ないよ!」



照日は静乃の足元にも目をやり、わざわざ指摘した。



…母にも言われた事だ。



この女、相当腕がたつ。




「ほら、もっと大きく!」



そんなことを言われても、小柄な静乃にはこれが精一杯の歩幅なのだ。



「それッ!」



照日は太刀を横なぎに振るい、静乃の反応を楽しんだ。



「へえ、いい動きだね。
それでも生きてるわけか。」



静乃の足を顎でしゃくりながら言った。



敵に褒められるなんて、光栄だ。







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