紅き天
馬車の振動も基子には辛いだろう。
これから街を抜け、荒野に入る。
そこを耐えられるかどうか…。
沈黙の中、基子が荒い息のもと、静乃に手を伸ばした。
目に涙を溜めながら静乃は頭を下げる。
ポタリ、と木の床板に染みが出来た。
2人は無言の言葉を交わし、静乃は小さな声で呟いた。
「ありがとう…。」
何がありがとうなのか、疾風にはわからない。
そっと見守るだけだ。
力なく基子は手を下ろし、目を閉じた。
慌てた疾風は息を確認するが、まだ息はしていた。
わかっていたように静乃は手を握っている。
親子の絆って、強いんだ。
ふと疾風はこの時思った。
これから街を抜け、荒野に入る。
そこを耐えられるかどうか…。
沈黙の中、基子が荒い息のもと、静乃に手を伸ばした。
目に涙を溜めながら静乃は頭を下げる。
ポタリ、と木の床板に染みが出来た。
2人は無言の言葉を交わし、静乃は小さな声で呟いた。
「ありがとう…。」
何がありがとうなのか、疾風にはわからない。
そっと見守るだけだ。
力なく基子は手を下ろし、目を閉じた。
慌てた疾風は息を確認するが、まだ息はしていた。
わかっていたように静乃は手を握っている。
親子の絆って、強いんだ。
ふと疾風はこの時思った。