紅き天
でもそのあとちゃんとフォローしてくれた。



「私は貴女の補佐として手伝いますから、なんとかなりますよ。」


「ありがとうございます。」



静乃は思わず頭を下げた。



「でも感情でものを言うようじゃ、当主は務まりませんよ。
…貴女、疾風君のために言っているんでしょう。」



グッと詰まった静乃を妙はみつめた。



「正直に。」


「…はい、そうです。」



この人のこういうところが苦手だ。



静乃は内心唇を噛んだ。



嘘は当然通用しない。



一見誤魔化せたように見えても、あとから思わぬ反撃を食らうのだ。



まあ、静乃の場合は誤魔化せもしなかったが。



「わかっていますよ、愛しい人を守りたいという気持ちは。
貴女はまだ15歳なんですから、少しくらいは甘えても目を瞑ります。
度を過ぎたら知りませんよ。」



どういうことだ、目を瞑ると言っておきながら知らないって。



静乃はなんだか疲れてきて、早めに話を終わらせようと顔を上げた。





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