紅き天
ガッターン!
静乃が昼食を食べていると、裏口から大きな音が聞こえた。
その日は疾風が来ない約束の日で、運悪く静乃一人だった。
何か落ちたかな?と見に行くと、戸が倒れていた。
おかしいな、倒れるはずないんだけど。
立て直そうと近づくと、頭の中で警報が鳴った。
ハッと周りを見回すと、数人の黒装束の人達が既に静乃に踊りかかっているところだった。
慌てて側にあった衝立て棒を投げつけ、外に出る。
油断していて、何も武器を持っていない。
「やぁっ!」
着物の帯を掴まれ、後ろに引き戻される。
「ッ!」
蹴りを放つ。
と、掴んでいた男は振り切れたが、あとから追ってきていた残りの男に寄って集って押さえられた。
「止めて!」
勿論聞いてもらえるはずもなく、静乃は後ろに手を捻りあげられた。