紅き天
誰、この人達。



幕府の人間?



もがいていると、手を縛られた。



嫌だ!



「疾風ぇ!」



静乃の声は通りの賑やかさに掻き消されてしまう。



「疾風!!」


「無駄だよ。」



通りに走ろうとする静乃の前に、一人の男が立ちふさがった。



この人、見たことある。



確か…。



「佐吉でやんす。」



ふざけて見せ、佐吉は大袈裟にお辞儀した。



「大分やつれましたね。」



思い出した。



この人、疾風のところの兇手だ。



前に疾風の家に遊びに行った時に訪ねてきた人だ。



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