紅き天
「疾…!」



え?



肩に鋭い痛みが走った。



「ああっ!」



疾風の顔が歪む。



私は状況がよくわからなくて周りを見渡す。




後ろにいた男が私を斬り付けていた。



と、グイッと体を引っ張られ、荷台から降ろされた。



「静乃、静乃、大丈夫か?」



顔をくしゃくしゃに歪めた疾風が静乃を抱き上げた。



「逃げるぞ。」



言ったときには疾風は既に走りだしていた。



追っ手を振り切り、家の中に入る。



そして疾風は急いで薬をとってきた。



「脱がすぞ。」



静乃が痛みでボーッとしていると、疾風がいきなり上半身の着物を脱がせた。



「キャッ!?」


「脱がすっつったろ。」



容赦なく液体をぶっかけられ、静乃はうめき声を発した。



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