紅き天
なんだよコイツ…。
疾風は家光の刀を受けながら息を吐いた。
よくもこんな下手に刀を操れるもんだ。
型なんてまったくなっていないし、ブレている。
こんなの、同格の奴と戦った方がまだやりやすいな。
逆に受けるのに苦労して、静乃を見る暇がない。
「…の野郎!」
鬱陶しい!
下手な剣術で俺に攻撃仕掛けるな!
小さい頃からしっかりとした剣術を叩き込まれた疾風としては、こんなものを見せられると腹がたつ。
これでよく俺は早く負けさせて花の加勢に行くとか言えるな。
ハッと疾風は家光をいじめながら嘲った。
足を払って家光をこかし、静乃達を見た。
…どうやら花も同じクチらしい。
静乃が手を抜いているのがわかりやすすぎる。