紅き天
「なあ、静乃!」



起き上がって突いてきた家光をかわしながら、疾風は静乃に呼びかけた。



「ん~?」


「同時に負かそうぜ!」



片手で花の刀を薙ぎ払った静乃はニヤリと笑って頷いた。



「お安い御用!」



ここでお安いってくるところが好きだな。



疾風は満面の笑みをたたえ、音頭を取った。



「せーの!」



え?



家光の喉に刀を突きつけようとした瞬間、目が回って崩れた。



途端に立場が逆転し、疾風は   負けた。



「疾風!!」



静乃が驚いて駆け寄ってくる。



「どうしたの!?」


「わ…から…ぇ。」



うまく喋れない。



舌が痺れているようだ。




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