紅き天
「私達、一緒にいられるんだよ。」



そうだった。



照日が乱入したから、向こうの反則負けだ。



「勝負に負けたんですから、約束は守ってもらいます。

守らないのなら、この木更津当主静乃が直接首を取りに伺いますので悪しからず。」



きっぱりと威厳を持って言い切った静乃は、疾風に向き直って微笑んだ。



「じゃあ、帰ろうか。」



静乃が髪を指で梳く。



気持ちがよくて、疾風の瞼はゆるゆると下がった。










静乃の柔らかい微笑みが、最後に見えた。





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