紅き天
愛、
目が覚めると、そこは見慣れた部屋だった。
横から涼しい風が吹いてくる。
いや、誰かが扇いでいる。
首を捻ってみると、静乃がうちわで扇いでいた。
「あ、起きた。」
どうやら静乃もうとうとしていたみたいで、物音に気付いて目を開けた。
一晩中いてくれたんだろうか?
「気分どう?
まだどこか痛い?」
「大丈夫。
もう喋れるし…起き上がれる。」
言いながら、疾風は身体を起こした。
静乃もそれを手伝う。
「無理しないで。
あの針、結構効果が強いものだったみたいだから。」
さすが照日よね、と憎々しげに言い、静乃は口を尖らせた。
「そういえば、あいつらは?」
尋ねると、静乃は苦笑いして言った。