紅き天
パタンと閉められた襖を横目に、疾風は布団に潜り込んだ。



さすが、と言うべきか。



基子さんの姉は普通じゃなかったってことだな。



基子が聞いたら激怒しそうな結論を出し、疾風は枕に頭を置いた。



本当に家光は俺達のことを黙っているんだろうか。



今にも軍を引き連れて来はしないんだろうか。



不安で、疾風の胸は押しつぶされそうだった。



「静乃。」


「ん?」



お盆に茶碗を乗せて戻ってきた静乃に疾風は声をかけた。



「家光は本当に俺達のことを放っておくんだろうか?」


「そうするはず。
でないと、命はないって妙さん脅してたから。」



あ~…。



「もし、こっちに攻めてきたら、私達が一緒になって追い返せばいいじゃない。」


「そうだな。」



箸を差し出され、疾風は受け取る。



「ねぇ、みんなはどうする?
もう呼び戻して仕事再開しても大丈夫かな?」



どうなんだろう。


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