紅き天
精神的にくる叱りかただ。



長い沈黙のあと、妙は口を開いた。



「私が説得してみます。
貴方の言う事はわかります。
確かに、こんな双方に悪い仕事、なくした方がいいかもしれません。」


「…本気ですか?」


「本気でなければこんな馬鹿げたことはしません。」



馬鹿げた事と言っておきながら、何だかんだ乗ってくれるらしい。



ありがとうございます。



面と向かって言うのは何だか悔しくて、疾風は心の中で頭を下げた。



「静乃、終わりました。」



妙が声をかけると、パタパタと走ってくる音がした。



よほど心配だったのか、現れた静乃は眉をへの字に下げていた。



「どうだった?」


「説得してみるって。」


「そう。」



へなへなと疾風の横に座り込み、静乃は長いため息をついた。



「お前は納得したのか?」


「うん。」


「俺達、今日限りで当主じゃなくなるんだな。」



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