紅き天
「じゃあ。
俺、もう少しで16になるから結婚しよう。」


「うん。」



頭をすり寄せてきた静乃の額に唇を落とし、撫でる。 



「私ね、疾風と暮らすの夢だったんだよ。
でも無理だって諦めてたから嬉しい。」


「俺もだ。
お前をこっちに引きずり込んだら不幸になるんだろうな〜とか思ってた。」



互いに勝手に苦しんでいた。



そう思うと笑えてくる。



もし、このまま上手くいったら俺達は普通の夫婦みたいに生きていくんだろうか。



いや、でも子供には護身術として俺らの技術伝授してやろう。



これくらいは許されるだろう。



「何ボーッと考えてるの?」


「あ、いや。」


「かまってよ…。」



静乃から唇を重ねてきた。



珍しい。



俺は応えるべく目を閉じた。




















この後、木更津、市松双方に罪人は出ないまま、江戸時代は幕を閉じた。



          End.





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