紅き天
足音を殺しきれていないな。



疾風は大して神経を集中しなくても聞き取れたので、そのまま歩いた。



ふと、人通りが途切れた時、足音が近づいてきた。



来た!!



疾風は素早くクナイを水平に薙ぎ、相手の刃物を奪い取った。



そのまま手首を反して相手の首にクナイを突きつけた。



「誰の組だ?」



へっと馬鹿にしたように笑い、男は言った。



「坊主に言う義理はねぇな。」


「その首掻き切るぞ。」


「やれるものなら。」



言った瞬間、疾風はそのままクナイを引いた。



一拍遅れて、男がくず折れる。



「馬鹿が。」



カランと奪った刀を放り捨て、疾風は事切れた敵に背中を向けた。




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