紅き天
■其の弐■
疾風、見合い
「ただいま。」
声をかけて疾風は市松薬問屋ののれんをくぐった。
「おう。」
宗治は薬を作っている手を止めずに疾風を迎えた。
そして、上着を脱いで作業着に着替えいる疾風におもむろに言った。
「疾風、お前そろそろ結婚せんか。」
「あ"?」
…一気に機嫌悪くなりやがった。
宗治はチッと舌打ちした。
言いだすタイミング間違えたか?
ガリガリと宗治は頭を掻いた。
こうなりゃつっぱしっちまえ。
半ばヤケクソで宗治は話を進めることにした。