紅き天



「くそっ!」



なんだよ、あれ!



疾風は部屋に戻ると、上着を床に投げ付けた。



結婚だなんて…。



俺は静乃が好きなのに。



まだそういう関係じゃあないけれど、いつかは…と思っている。



なのに。



何で顔も見たことない奴との縁談が持ち上がるんだよ。



何で俺に惚れるんだよ。



疾風はごろんと布団に身体を投げ出した。



はあ、とため息をつく。




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