紅き天
血統にこだわり過ぎると、いつか一族は崩壊する。



しかも、甘やかされて育った一人娘を迎えるとなると、なおさらだ。



安心して家を預けられるわけがない。



疾風が悶々としていると、宗治が上がってきた。



そして疾風の部屋の襖を開け、有無を言わせぬ口調で告げた。



「明日、旅館で見合いだ。
正午から。
遅れるな。」



疾風は何も言わず、天井を見ていた。



宗治もぐだぐだ言わず、静かに去って行った。







もう、避けられないのか。



静乃…。





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