紅き天
当日
沈みに沈みまくった疾風を連れ、宗治は待ち合わせ場所へ向かった。
力強い自分の足音の後ろからは、ズリズリと引きずるような足音が聞こえてくる。
旅館まで後少しという距離になると、宗治は呆れて振り返った。
「疾風、諦めろ。
そんなぐだぐだしていても現実は変わらん。」
疾風は返事を返さず、虚ろな目のまま地面を見ている。
「ったく、しっかりしろよ。」
宗治はバシッと疾風の背中を平手打ちし、旅館に入って行った。
残された疾風はため息をつき、深呼吸をしてから中に入った。